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「そうか……。お前の野性の勘は素晴らしいな」
茶化した様な言い方に紅姫はムッとしたが――。
「そんなに早い段階で察したのは、お前だけだろう。流石だな……親友」
――!!
ビックリした紅姫の顔が、みるみる内に赤みを帯びていく。
蒼湖が紅姫に対し親友なんて言葉を口にしたのは、これが初めての事だ。
10年前、蒼湖は紅姫を親友と呼んだが、紅姫がそれを知る事は無かった。
それは、紅姫がナイツオブラウンド戦で最期を迎えた時の事だったからーー。
嬉しくて。
だけど、照れる。
「バッ、何だよ急に! つか……ったりめーだろ! 今も昔も、俺はお前の大親友だぜ!?」
大股で勢いよく歩き出した紅姫の後を、蒼湖のクスクス笑う声が追い掛けていく。
「これからも、だろ?」
蒼湖が問う。
「だから! 当たりめーだっつの!!」
紅姫が返した。
余りに声が大きく、付近の犬が一斉に吠えてしまい、2人が慌てる。
「何をやっているんだ、バカかお前は!」
バシッ! っと紅姫の頭をはたいた蒼湖は、動揺している親友の腕を掴み、走り出した――。
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