*第二章*

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「あれってあんたのお兄ちゃんじゃないのよ」 私の肩に手を置いた瑞季がいった。 あんなのが兄だなんて 認めたくはないが、 それは間違いなく 朝の屋上で 困ったような顔で毒をはいてきた時と 同じくらい困った顔を浮かべた 翔だった。 …たぶんこれは 本気でこまっているんだろうけど。 「翔先輩!私っ翔先輩のためにクッキー焼いたんです! 食べていただけませんかっ?」 可愛らしい1年女子が 翔に綺麗な箱を差し出す。 『翔のため』って… 材料費がもったいないっつーの… 「ちょっと1年生!部活の後輩でもないんだから月野くんに馴れ馴れしくしないでよ。」 こんどは 化粧をぱきっとした 綺麗な顔立ちの同級生が 翔に近づく。
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