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「あれってあんたのお兄ちゃんじゃないのよ」
私の肩に手を置いた瑞季がいった。
あんなのが兄だなんて 認めたくはないが、
それは間違いなく 朝の屋上で
困ったような顔で毒をはいてきた時と
同じくらい困った顔を浮かべた
翔だった。
…たぶんこれは 本気でこまっているんだろうけど。
「翔先輩!私っ翔先輩のためにクッキー焼いたんです!
食べていただけませんかっ?」
可愛らしい1年女子が 翔に綺麗な箱を差し出す。
『翔のため』って…
材料費がもったいないっつーの…
「ちょっと1年生!部活の後輩でもないんだから月野くんに馴れ馴れしくしないでよ。」
こんどは
化粧をぱきっとした 綺麗な顔立ちの同級生が 翔に近づく。
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