誕生日の約束

85/114
前へ
/388ページ
次へ
唖然として口をパクパクさせている私と反対に、先生はリョウスケくんに向かって親しげな笑みを浮かべる。 「そうか。リョウスケはくすぐったいのを我慢してるミイちゃんを見て、可愛いって思うんだな。」 「うん。ミイちゃんは僕がくすぐると、ぎゅって体を小さくして困った顔で僕を見るの。目が少しうるうるしててね……」 「あー、それは可愛いな。もっとイジワルしたくなるリョウスケの気持ちも分かるわ。」 「うんっ、すっごく可愛いよ。」 「……」 ……この二人の会話、何かが間違ってる……。 「けどさ、今度から、あんまりしつこくするのは止めておけよ。 特に相手が一生懸命何かをやってる時に、ふざけたり邪魔するようなことをしたら嫌われるぞ。」 「えっ、……ミイちゃん、僕のこと嫌いになっちゃったかな……」 リョウスケくんが不安そうに眉を下げる。 「いや、今はまだそんなことないだろ。だって初めは仲良く、くすぐりあっこしてたんだろ? リョウスケのこと嫌いだったら、最初から、くすぐりあっこなんてしないと思うけど?」 そう言うと先生は、リョウスケくんの頭に手を置いて、くしゃくしゃと撫でて言った。
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5283人が本棚に入れています
本棚に追加