雨の日の秘密

40/88
前へ
/388ページ
次へ
【23:18】 液晶画面に表示された時刻をみて、私は大きくため息をつく。 ――どうしたんだろう、先生。まだ帰ってないのかな…。 鳴らない携帯電話に、私の心の中は、モヤモヤとした気持ちでいっぱいになる。 …お風呂に入ってるのかも…。 …あ、もしかして…家に仕事を持ち帰ってるのかな…。 私は色々と、何で携帯が鳴らないのかを理由づけて見るが、最後には、 「もう…せめてメールでもいいから、連絡くれてもいいのに…。」 と、不満の声を漏らす。 その声が聞こえたかのように、突然携帯電話が光って電話の着信を知らせた。 …ちょっ、何でこのタイミング…。 滝沢先生からだと分かり、少し焦りながら電話に出る。 「は、はい。もしもし。」 「おー、出た出た。」 「……先生、もしかして酔ってるんですか?」 「ん。まあなー。」 「え、だけど先生、車だったんじゃ…」 「代行出してもらったから。」 「あ…そうですか…」 …先生だけ飲むなんてことはないだろうし、きっと教頭先生も香山先生のお父さんも…香山先生も、一緒に飲んでたんだよね…。 …先生、すごく機嫌がいいみたい。 …そんなに盛り上がったのかな…。 僻みっぽい感情が芽生えてしまい、私は慌ててそれを払いのけようとする。 *
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5283人が本棚に入れています
本棚に追加