雨の日の秘密

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「いや、まさかあんなに盛り上がるとは、思わなかったわ。」 「……」 「教頭先生とも、あまり深い話とかしたことなかったけど、今日の事で結構話しやすくなったし…いや、行ってよかったよ、ほんと。」 「……」 ……もう、聞きたくない。 黙って電話を切ろうとすると、 「佐伯。お前は、誰が好きなんだよ。」 先生が、ご機嫌な声で尋ねてくる。 「え…」 「当ててやろうか。」 …何を、今更…。 先生は少し考えてから、「分かった。」と得意げに声をあげた。 「あいつだろ。沖田総司」 「…は?」 「まあ、無難なとこだな。いや、悪くないと思うよ。剣の名手だったらしいし、佐伯が憧れるのも、分かるよ。」 「あの…」 「ん?」 「何のお話ですか?」 「何って、新撰組の話だよ。言わなかった?」 「……」 …言ってません。 先生の、酔っ払い…。 「そうか。佐伯は、沖田総司が好きなのか。」 「……」 だから、何も言ってないってば…。 *
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