雨の日の秘密

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私は、むうっ、と膨れながら、文句を言う。 「だいたい、どうして突然、新撰組の話なんか…」 「あー、いや、悪い。今日ずっと、教頭先生達と新撰組の話してたから、つい…」 「え…今日ずっと、ですか?」 「ん。」 「香山先生も?」 「いや、香山先生は世界史専門だから、あまり新撰組の事とか知らないみたいだな。 つまらなかったらしくて、1人だけ先に帰っちゃったし。」 「……」 「1時間くらいしか、居なかったんじゃないかな。」 「……」 …それ、きっと…怒って帰っちゃったんじゃ…。 あれ?それじゃあ、さっきの今度は3人で、ていうのは、 滝沢先生、香山先生のお父さん、教頭先生の3人てこと? 「……」 私の目から溢れ出ていた涙が、ピタッと止まる。 「俺は世界史専門だけど、幕末の辺とかは結構好きなんだよね。」 「…そうですか。」 「教頭先生は、土方歳三が好きらしいよ。」 「…おやすみなさい。」 まだまだ話したそうな滝沢先生を放ったらかしにして、私は今度こそ電話を終えた。 *
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