雨の日の秘密

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「教頭先生。佐伯さんてね、滝沢先生と、とっても仲がいいんですよ。」 「えっ、いえ、そんな…仲がいいってわけじゃ…」 …な、何で香山先生、教頭先生にそんな事…。 …どうしよう、どうしよう。何て言おう…。 私は頭をフル回転させて言い訳を探してみるが、完全に動揺して何も思い浮かばない。 教頭先生の視線が、私に向けられた。 「……」 「……」 教頭先生は、じ、と私を見つめた後、さっきの親しみのある笑顔を見せる。 「ああ、そうらしいね。」 「!」 平然と返事を返す教頭先生に、香山先生は「えっ?」と驚きの声をあげた。 「あの…知ってらっしゃったんですか?」 「この前、滝沢先生から聞きました。」 「滝沢先生が、何て…」 …それ、私も聞きたいっ。 教頭先生は、何でもない事のように、さらっと答えた。 「お気に入りの生徒だ、て聞いてますけど。」 *
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