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滝沢先生は思い当たらないらしく、不思議そうに聞き返してきた。
「何のこと、言ってるんだよ。」
「雨の日に、私と奈央を車で送ってくれたことで、教頭先生に色々言われてるんでしょ?」
「……あー、香山先生か。」
「どうして話してくれなかったんですか?話してくれてたら、私…」
「や…それは、さ…」
「……先生は…私のこと、子供扱いしてる……」
ちょっと拗ねたように言うと、滝沢先生は私の頭にポンと手を乗せて、よしよしと撫でる。
「子供扱いなんて、してないよ。」
「……」
「教師として俺が言われた話だから、生徒のお前にする話じゃないと思ったんだよ。それに…」
先生の手が下りてきて、私の頬を指で軽く撫でる。
「こういうのは、男が考えるべきことだから。
そんな事、お前は考えなくていーの。」
「…でも…」
「ちゃんと俺から教頭先生に話して…理解もしてもらったし、誤魔化すべきところは、誤魔化しておいたから。」
「……誤魔化すべきところ?」
「…とにかく。佐伯は、今まで通りにしててくれればいいんだよ。分かった?」
「……はい。」
「ん。いい子。」
滝沢先生は、にっ、と笑って私の頭をクシャクシャと撫でた。
「……」
……やっぱり、思いっきり子供扱いされてる気がする……。
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