雨の日の秘密

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「…さっき教頭先生に言った、『将来のことを考えられるくらいの関係の相手』ていうのは…その…」 「……」 「…私、て思っても…いいの?」 「……」 滝沢先生は、ムスッとした顔でそっぽを向くと、照れたような口調でぼそっと呟いた。 「…いちいち言わなくても分かるだろ…」 「…だって…でも…言って欲しい…」 「……」 「ね、先生…お願い…」 「……」 滝沢先生は、おねだりする私の肩を抱くと、グイッと引き寄せた。 先生の胸に倒れ込んだ私の耳元に、滝沢先生の唇が寄せられる。 「…そんなこと、決まってるだろ…」 耳元で、少し掠れたような声で囁かれ、私のドキドキが一層激しくなっていく。 『佐伯、お前のことだよ。』 そんな甘いセリフを期待している私に、滝沢先生の掠れた声が、耳元で囁かれる。 「…教頭先生が、土方歳三の次に興味がある人物のこと、だよ…」 「……」 ……それ…全然甘くない……。 *
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