雨の日の秘密

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先生の親指が、私の唇を優しくなぞっていく。 その焦らすような指の動きが、堪らなく私をドキドキさせる。 先生は顔を傾けて、ちゅ、と軽く口づけると、熱っぽい目で私を見つめた。 「佐伯…お前、さ…」 いつもより甘い声で、先生が囁く。 「…今…メチャメチャ可愛い顔してるよ。」 「…え…あっ…」 ぐっ、と後頭部を抱え込むようにして、先生が再び私の唇を塞いだ。 さっきの触れるだけのキスとは違う奪うようなキスに、私のドキドキが加速していく。 口内に先生の舌が入り込んできた。 舌を絡ませながら、先生の指先が、背中や腰のラインを優しくなぞっていく。 「…はぁ…んんっ…」 耐えきれずに漏れた声も一緒に吸い上げられて、体も頭もフワフワとして、何も考えられなくなる。 ようやく唇を解放された時、完全に体の力が抜けてしまった私は、 先生に体重を預けながらトロンとした目で先生を見上げた。 「…そんな目で、見るなよ…」 先生が、ちょっと困ったような顔をして呟く。 「…俺、今…かなり余裕ないんだからな…」 「…え…」 「学校でそんな顔されると、困るんだけど…」 「…え…」 「続き…したくなっても、学校では出来ないだろ。」 「…っ…」 *
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