雨の日の秘密

69/88
前へ
/388ページ
次へ
……先生、 学校じゃなかったら、続き、してくれたかな……。 ぼぼぼっ、と顔が熱くなるのを感じながら、心の片隅でそんなことを考えていると、 「何、考えてるの?」 じ、と見つめながら、先生が尋ねてくる。 「え…別に、何も…」 「そんな、にやけた顔してるのに何も、てことはないだろう。」 「う…」 …そんなの、言える訳ないっ。 先生とのさっきの続き、想像しちゃったなんて…。 床に座ったまま少し後ろに後ずさると、先生がじりじりと距離を詰めてくる。 「言えよ。気になるだろ。」 「…だから、何もっ…」 先生の追求から逃れるように更に後ずさると、背中がドン、と机にぶつかった。 その弾みで、机の上から何かが落ちてきて、私の頭に当たる。 「いたっ…」 私は頭をさすりながら、床に落ちたそれに目をやった。 『土方歳三~鬼の副長の素顔~』 「……」 …何だか、土方歳三に怒られたみたい…。 ごめんなさい、土方歳三さん。 …私、今…イケナイこと、想像しました…。 *
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5283人が本棚に入れています
本棚に追加