雨の日の秘密

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…今から1時間…先生の横顔は、私だけのもの…。 先生の横顔に見とれながら、思わず顔を緩ませていると、 「…だった?」 リモコンを操作していた先生が何か話しかけてきたが、聞き漏らしてしまう。 「え?」 「…だから、この前どこまで観たか聞いてるの。ここは、もう観た?」 先生は、チャプターの選択を変えながら、話しかけてくる。 「あ、はい…その次くらいからで…」 「ん。」 先生は操作を終えると、リモコンをソファーの前のローテーブルに置いて、立ち上がった。 リビングにつながったキッチンに向かうと、冷蔵庫から2Lのお茶のペットボトルを取り出す。 先生はペットボトルと一緒に、深い緑と赤の色違いのマグカップを持って戻ってくると、コトンとローテーブルの上に置いた。 「コーヒーじゃないけど…せっかくだから、これで飲もうか。」 「はい。」 先生がペットボトルのキャップを開けて、マグカップにお茶を注いでくれる。 …何か、いいなあ。こういうの… 仲良く並んで置かれたマグカップを見て、私はまた顔を緩ませた。 色違いのマグカップは、私がクリスマスにプレゼントしたものだった。 *
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