雨の日の秘密

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いつもと違う表情にドキリとしながら、私は潤んだ瞳で先生を見上げる。 先生は、困ったように小さく笑って言った。 「この前、言っただろ。そんな目で見るな、て…」 「え…」 「…俺、今…かなり余裕ないんだからな…」 社会科準備室の机の下で、秘密のキスを交わした時と同じセリフを、先生が口にする。 「…佐伯…」 さっきよりも余裕のない顔で、先生は私の髪に軽く口づけると、後ろから回した腕にぎゅっと力を込めた。 「…佐伯…」 「先生?」 「…佐伯…」 熱をもった先生の唇が、髪に、首筋に押し当てられていく。 「ん…せんせ…」 再び甘い刺激が、私を襲ってくる。 首筋を這っていた唇が、私の耳たぶを優しく挟むと、ちょっと掠れた声で先生が耳元で囁く。 「…続き…していい?」 「続き…て…」 先生は腕の力を緩めて、私の胸をスルリと撫でて言った。 「…もっと…佐伯に触れたい…」 「…っ…」 「さっきよりも…もっと近くで…」 *
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