雨の日の秘密

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先生はリモコンに手を伸ばすと、ラストに近いチャプターを選びながら言った。 「ラストだけ、もう1回観せて。さっきはお前のせいで、集中できなかったから…」 「……」 「佐伯?」 「……どうして?」 「え」 「…どうして、途中で止めたんですか…」 制服のスカートを、ぎゅっ、と握り締めて、私は先生の瞳に訴えかける。 「先生…私とじゃ、そういう気にならない?私が、まだ子供だから…」 「…そんな訳ないだろ。」 先生は困った様な顔をして、私の頭をクシャクシャ、とした。 「…だったら、どうして?私…先生となら…」 「いや、それは、さ…」 先生は、ちょっと口ごもってから、言いにくそうに口を開く。 「…さっきの佐伯…メチャメチャ可愛かった…」 「…っ」 「あんなに敏感に反応してくれて…男としては、途中で止めるのは、かなり辛かったし…」 先生は私の頭に手を乗せたまま、顔を近づけておでこをコツンとぶつけると、至近距離で目を合わせながら言葉を続ける。 「…もっと、お前の色んなところに触れたかった…」 「っ…」 「…もっと、可愛い声も聞いていたかった……けど、時間切れ。」 「え」 「お前とそういう事するには、全然時間が足りない。」 「……」 「今から帰る時間気にしながらじゃ…俺のしたい事全部できない…」 「……」 ……全部って、先生、何を……。 *
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