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チラ、と周りを見渡して、近くに人がいないのを確認すると、米倉がため口で話してきた。
「つーか、滝沢。今、お前、にやけてなかった?」
「別に…俺は…」
「おっ、確かに可愛い子が多いな。」
米倉はにやにやしながら、好みの生徒の名前をあげる。
「俺のお勧めは……まず、今ダントツ4位で走ってる広瀬。
ミディアムヘアーが可愛いくて、ちょっと鼻にかかった甘えた声とか…妹にしたいタイプだな。」
「……お前、妹いるだろ。」
「理想の妹って意味だよ。
うちの妹なんて、メチャメチャしっかりしてて、子供の頃から俺に注意してくるんだぜ。
広瀬みたいな妹に、『お兄ちゃん、お願い。』とか言って、甘えられてみたかったなー。」
「…あっそ…」
俺は軽く返事をしながら、窓の外に視線を戻した。
佐伯のチームは、まだ2位のままだったが、1位との差をほんのわずかまで詰めていた。
「で、次は、生徒会で会計を任されている、白島。
容姿端麗、頭脳明晰、スタイル抜群。
ああいう先輩が欲しかったなー。
俺、先輩のために色々頑張っちゃったりしてさ。
そんで先輩に、
『米倉くん。ご褒美、あげる。』とか言われちゃったりして…」
「……」
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