体育祭

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はあ、と大げさにため息をついて、俺は隣りに立つ米倉をジロリと見た。 「…あのさ、米倉先生。俺、先生の妄想とか興味ないんですけど…」 「まあ、そう言うなって。これで最後だから。 次は、滝沢先生もよく知ってる、テニス部のアイドル、佐伯。」 「…え…」 いきなり佐伯の名前を出されて、内心ドキリとしながらも、俺は何とか平静を装ってみせる。 「…ああ。佐伯、ね。」 「そう。可愛いよな、あいつ。」 米倉は、立ち上がって自分のチームを応援する佐伯を見つけると、目を細めて呟いた。 「……」 「……」 そのまま2人で黙って佐伯の様子を眺めていると、同じチームの男子生徒が、ちょんと佐伯の肩をつついて、何か話しかけた。 周りの声援でかき消されてしまったらしく、え?というように、佐伯が小首を傾げる。 「かっわいー。」 隣りでデレた顔をする米倉に軽くイラつきながら、俺は表情を変えずに米倉に尋ねた。 「…それで?」 「え…それで、て?」 「他の2人には、色々言ってただろ。 理想の妹だとか、あんな先輩が欲しかったとか…」 「…ああ、」 「佐伯には、そういうの無いの?ただ、可愛いって思うだけ?」 「んーそうだな…」 米倉は少し考える素振りを見せると、思いついたように、手をポンと叩いた。
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