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「それ、私もです。」
「え…佐伯、体育祭の実行委員になったの?」
「はい。」
「…じゃんけんで負けたとか?」
「違います…誰もやりたい人がいないみたいだったんで…立候補したんです。」
「えっ」
自分から立候補したという佐伯の言葉に、俺は少し驚いた。
「へえ…偉いね。体育祭の実行委員なんて、準備も大変だし雑用ばっかりで、面倒臭がるやつが多いんじゃないの。」
「そうらしいですね。でも…いいこともあるから…」
「いいこと、て?」
「え…あ、えっと、それは…」
「うん。」
「……秘密、です。」
「……」
俯いて俺から視線を逸らした佐伯は、ちょっと恥じらうような表情をみせる。
「何?秘密とか言われると、気になるんだけど…」
「あ…私っ…先に行きますね。誰かに見られちゃうと、あれなんで…」
真っ赤になってぎこちない言い訳を残すと、佐伯は俺の横をすり抜けて行った。
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