体育祭

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俺は、愛おしそうに佐伯の頬を指で撫でた。 くすぐったそうに、佐伯が小さく身をよじる。 ―――可愛い。 可愛くて、堪らない。 本当は、今すぐにでもキスしてしまいたい。 ………だけど、どうしても言わせたい。 佐伯はクルンとした睫毛を小さく震わせて、「早く」とでも言うように、必死でその瞳で俺に訴えかけてくる。 湧き起こる衝動を、グッとこらえて、俺は佐伯の柔らかな唇の感触を指で確かめた。 「…ん…」 小さく息を漏らすと、ついに佐伯が羞恥でいっぱいになりながら口を開いた。 「…滝沢先生…」 佐伯は目を少し潤ませながら、消え入りそうな声で小さく呟く。 「……先生…ぎゅっ、てして……」 ………え? ………ぎゅっ? ………………だけ?
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