体育祭

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「あれ、佐伯と青山だよな。何で2人で帰ってんだろ。あの2人、仲良かったっけ?」 「…体育祭実行委員で、一緒だから、親しくなったんじゃないの?」 「え、あいつら2人とも、実行委員なの?」 「ああ…」 「ふーん、そっか…だとすると……今日をきっかけに、新しい恋が生まれるかもしれないな……」 「は?」 「言っただろ?実行委員同士は、カップルになる確率高いって。 ああやって一緒に帰ったりしているうちに、恋に発展したりするんだよ。」 「……」 「あいつらが、実行委員同士のカップル第1号になるかもしれないよ。あーあ…」 米倉は、そう言うと残念そうな顔で、はあ、とため息をついてみせる。 「……何でそこで、米倉が残念がるんだよ。」 「いや…できれば佐伯に彼氏ができるのは、もう少し遅い方が良かったな、て思って…」 「……」 ……佐伯が俺と付き合ってる、て知ったら…米倉、ショックを受けるだろうな……。 ふっ、と口元を緩ませながら、俺はなるべく平静を装って言う。 「あの2人は、そんなんじゃないよ。」 「何で、そんな断言できるんだよ。」 「…それはさ…」 何て言おうか、一瞬だけ口ごもった後、俺はゆっくりと口を開いた。
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