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「青山は、彼女がいるだろ。確か、後輩の…」
「その子となら、もう別れただろ。知らなかった?」
「…え…」
「夏休み中、青山が部活で忙しくて、彼女はあまり構ってもらえなかったらしいんだ。
そんな時に、同じクラスの男に優しくされて…気づいたらそいつの方を好きになってた、てパターン。
ありがちだろ?」
「ああ…」
「やっぱりさ、その後輩の女の子も先輩と付き合ってるってことで、どこか遠慮があったみたいなんだよ。
会いたいとか言ったら、我が儘だと思われるんじゃないかって……素直な気持ちも言えずに、我慢して……」
「……」
「けど、同じクラスのその男には、全部話せるんだってさ。
青山が会ってくれないことへの不満も、不安な気持ちも、何もかも全部…。」
「……やけに詳しいね、米倉先生。」
「え?ああ…俺、1年の女子から結構慕われてるから。恋愛の悩みとかも、聞いてやったりするし。」
「へえ…知らなかった。凄いんだな、米倉って。」
…恋愛の悩みを相談されるなんて、余程信頼されているんだろうな…と、俺は本気で感心した。
「いや…大したことは言ってやれてないんだけどさ、男の意見が聞きたくなるみたいで…よく相談されるんだよ。」
照れながらも、俺が誉めたからか、米倉はだんだん饒舌になっていく。
「やっぱさ、我慢したり無理をしなきゃいけないような恋愛は、うまくいかなくなるんだよな。
等身大の恋が、一番なんだよ。きっと…」
「……」
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