体育祭

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俺は米倉の言葉を、自分と佐伯に重ね合わせて聞いていた。 ……等身大の恋、ね……。 そんな事、言われなくても、分かってるよ。 もしも佐伯が、俺じゃなくて同年代の相手と付き合ってたとしたら、 今みたいに我慢したり、寂しい思いをしなくてすむことぐらい……。 ……だけど、 ―――好きになってしまったんだから、仕方ないだろ。 そういうマイナスな事をひっくるめて、俺達は傍にいることを選んだんだ。 それに、こうやって我慢させたり寂しい思いをさせるのも、佐伯が俺の生徒である間だけだ。 あいつが高校を卒業したら……今のように世間体や人目を気にすることなく、堂々と並んで歩くことができる。 それまで……あと1年と数ヶ月……。 「……」 ………結構、長いな。 まだ、そんなにあるのか………。 はあ、とため息を漏らすと、米倉が怪訝そうな顔で俺を見てくる。 「何だよ、滝沢。急にそんな切なそうなため息なんてついて。」 「……なあ、米倉。」 「ん?」 「……早く時間が過ぎればいいのに、て思うことってない?」 「……やっぱり滝沢も、そう思ってた?分かるよ。俺も同感だ。」 米倉は分かる分かるというように、俺の肩をポンと叩いた。 「ここだけの話…こんな会議、早く終わって欲しいよな。 始まるのも遅いし、いつもダラダラと…早く時間が過ぎればいいのにって、俺も毎回思ってるよ。」 「……」 米倉との噛み合わない会話を最後に、部活の指導を終えた教師が戻ってきて、みんなバタバタと席につき始める。 職員会議の始まる合図だと悟って、俺と米倉はそこで話を切り上げた。
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