体育祭

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「「「一緒に、写真撮ってもらえませんかっ。」」」 予想外のお願いに、俺はちょっと面食らった。 学園祭とか卒業式とか何かの行事の時なら、今までにも生徒から写真を撮らせて欲しいと言われたことはあるけれど、 今日みたいに何でもない日に、しかも社会科準備室の前では、さすがに……。 「……今、ここで?」 「はいっ。私達、ずっと滝沢先生のファンなんです。」 「先生の写真があれば、受験勉強も頑張れると思うんですっ。」 「それに、受験の時の御守りがわりにしたいし…だから…」 「「「お願いしますっ。」」」 「……」 ………御守りって……俺…そんな特別な力、持ってないけど………。 特に断る理由も見つからない俺は、戸惑いながらも口を開く。 「…いいよ。その代わり、あんまり効果は期待するなよ。」 「ほんとにっ?」 「きゃーっ。」 「ありがとうございますっ。」 彼女達は3人で手を取り合って喜んだ後、突然ジャンケンを始める。 「何のジャンケン?」 「順番決めです。」 「順番?」 「誰が1番に撮るかを決めてるんです。」 「……」 ………1人ずつ撮るんだ。 時間を気にしつつ、3人それぞれにガシッと腕を組まれて、写真を撮り終える。 最後に、3人一緒に俺と写りたいと言い出した時、タイミングが良いのか悪いのか、体育祭の実行委員数人が向こうからやってきた。 その中に、佐伯と青山の姿もあった。
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