体育祭

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自分でも、子供じみた行動だって事は分かってる。 既に青山の荷物を持っている佐伯に、更に俺のノートパソコンまで持たせるなんて、少し不自然だったかもしれない。 ―――けど、どうしてもイヤだったんだ。 青山の少し後ろで、あいつのカバンを両手で、ぎゅっと抱きかかえるように持って立っている佐伯。 その2人の姿がまるで、仲の良いカップルに見えて、俺はどうにも面白くなかったワケで……。 しかも……何でさっきから、青山の方ばっか見てるんだよ。 さっきから佐伯は、一度も俺とは目を合わせようとしない。 ノートパソコンを受け取る時ですら、佐伯は俯いたままだった。 ……青山を見てるのか、それともわざと俺を避けているのか……、 どっちにしても、俺は面白くなかった。 写真を取り終えた青山が、デジカメを3年生の女子生徒に返すと、佐伯の元に駆け寄ってきた。 「サンキュ、佐伯。重かっただろ?」 青山は爽やかな微笑みを浮かべて、佐伯の頭を軽くポンと撫でた。 突然触れられて、佐伯は戸惑いながらも、 「…ううん。全然。」 と照れながら、微笑み返す。 そのやり取りを見ていた他の実行委員の生徒が、ニヤニヤしながら青山の肩をポンと叩いて言った。
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