5283人が本棚に入れています
本棚に追加
一緒に体育祭の実行委員をすることで、俺との高校生活の思い出ができるとでもいうのだろうか。
けれど佐伯は、今年の体育祭実行委員の教師の中に俺が入っていたことを、初めは知らないようだった。
佐伯が実行委員になることで生まれる俺との接点を考えてみるが、思いつかない。
進行表を眺めながら首を傾げる俺に、実行委員の生徒が不安げに尋ねる。
「あの…どっか問題ありますか?」
「いや、ざっと見た感じでは、これでいいと思うよ。」
「気づいた事があったら、言って下さい。プログラムを作る前なんで、まだ変更ききますから。」
「ん、分かった。」
「それから、先生参加の競技についてなんですけど…」
「え…」
「あ、2枚目のプリントです。」
「ああ…」
ホッチキスで止めてあるプリントを、ぴら、と捲る。
「滝沢先生には、リレーと二人三脚の2種目とも出てもらうことになると思います。」
「あー…了解。」
毎年、余興的な種目として、教師と実行委員の生徒が参加する競技が用意されている。
教師と生徒混合のチームを2チーム作って、対戦させるのだ。
けれども年配の教師の中には、出場するのを渋る人もいて、俺のような若手の部類に入る男性教師は、2種目とも強制参加となる。
最初のコメントを投稿しよう!