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「ちなみにリレーは、先生がAチームのアンカー候補ですから。」
「は?アンカーは生徒だろ、普通。」
「Bチームのアンカーが、青山なんですよ。他に速そうな奴いないんで…お願いします。」
「……」
……青山は、陸上部だったよな。
ということは、そこそこ速いわけだ。
参ったな。まさか、青山とガチで対決することになるとは…。
そこで俺は、はた、と気がついた。
……そうか。
佐伯は、教師と一緒の競技に出るために、わざわざ実行委員の仕事を引き受けたんだな。
つまり、俺と同じ競技に出たいがために……。
……ったく、随分可愛いことしてくれるじゃん……。
俺は、実行委員のチーム分けの表に目をやった。
佐伯は、俺と同じAチームで、二人三脚に出ることになっている。
「……」
……これくらいの職権乱用なら、許されるよな……。
心の中で呟きながら、俺は進行表を渡してきた生徒に向かって小声で囁いた。
「…なあ、お前もAチームだよな?」
「あ、はい。」
「アンカー引き受けるよ。で、二人三脚の組み合わせ、俺が決めてもいいかな。」
「え…」
「出るからには、やっぱ勝ちたいからさ。
勝つために色々、組み合わせとか順番とか作戦立てたいし…」
「そういうことなら…ぜひお願いします。」
「ん。最終的にはお前に相談するから。」
「はいっ。」
ひそひそと密談する俺達を、他の実行委員や佐伯が不思議そうに見つめていた。
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