体育祭

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「……」 ………ウソだろ。 予想外に照れる自分に、驚く。 佐伯に触れたことも、触れられたことも、 2人の時はいくらだってあるのに。 こんな風にそっとなんかじゃなくて、 全てを俺の中に閉じ込めるように強く引き寄せて、ぎゅっと抱き締めたことだって……。 これくらいで、何で今更照れたりなんか……。 「……滝沢先生?」 「え…何?」 「どうかしたんですか?」 「いや…」 コホン、と咳払いをして気持ちを切り替えると、俺は佐伯に向かって言った。 「1、で外側の足。2、で縛ってる方の足。 つまりお前は左足から、俺は右足から、な。」 「はい。あ…」 「何?」 「紐、ちょっと緩いかも…」 「そうか?じゃ、縛り直すよ。」 俺は片膝をついて、いったん、俺と佐伯の足首を縛る紐をほどいた。 そして、さっきよりもきつく結び直した後、確認しようと顔を上げる。 「……」 ハーフパンツから伸びる佐伯の白い脚が、何の心の準備もないまま、俺の視界に飛び込んできた。
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