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「佐伯…告白された時いつも、『他に好きな人が居るから。』て言って断ってるんですけど…」
「……いつも?」
「え…あ、はい。佐伯に告った奴って、何人もいますから。」
「……あいつ…モテるんだ……」
「そりゃそうですよ。可愛いし、いい子ですからね、佐伯。」
「……そうだね。」
「で…これは、あくまで俺の勘なんですけど…その『好きな人』っていうのは、滝沢先生じゃないかな、て…」
「……そう思った理由、は?」
「佐伯、先生の話する時、すぐ顔が赤くなるんです。」
「……」
……それはまた、分かりやすい……。
「それで…赤くなった後に、必死でそれを誤魔化そうとするんですけど、全然隠せてないんですよ。
二人三脚のペアが滝沢先生だって分かった時も、メチャメチャ嬉しそうな顔を見せたと思ったら、急に澄ました顔をしてみせて。
でも、口元緩んでてバレバレだし……」
青山はその時の佐伯を思い出したように、クスッと笑って言った。
「ほんと可愛いですよね、あいつ。」
「……」
「きっと佐伯が好きなのは、滝沢先生ですよ。あ…好きって言っても、憧れとかそういうのかもしれないけど……」
何となく俺と青山は、佐伯の姿を探した。
佐伯は、立ったままタオルをぎゅっと握って、Aチームのリレーの行方を見守っていた。
自分が走るわけでもないのに、少し表情を強張らせて無駄に緊張している佐伯の姿に、男2人で癒やされる。
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