体育祭

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午後の競技が進んで、リレーの時間が近づくにつれて、俺は今更ながらアンカーの責務の重さを感じていた。 アンカーを引き受けた時は正直、余興的な競技だからと、どこか軽く考えていたのだけれど……。 さっきの二人三脚といい、実行委員以外の生徒のこの声援の大きさといい、生徒だけ参加する競技よりも盛り上がりを見せている。 ………おまけに。 俺は、チラ、と体育祭本部のテントが張られた席に、目をやった。 さっきテントの裏で俺は、偶然見つけてしまったのだ。 『ファイト一発!滝沢先生!!』とデカデカと書かれた横断幕が置いてあるのを……。 ……ったく…あいつら、いつの間に……。 予想以上の重圧が、俺の上にどっしりとのしかかってくる。 「……」 ……ちょっと、胃が痛い気がする……。 俺はそっと片手で、胃の辺りをさすった。
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