体育祭

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………あいつらに、謝らないとな。あんなに盛り上がって応援してくれてたのに………。 勝手にレースを中断させた事を申し訳なく思っていると、ゴールした俺と青山の周りに、実行委員のみんなが集まってきた。 「ごめん。」 「みんな、ごめん。俺、最後まで走れなくて…」 頭を下げる俺と青山に、実行委員の生徒達はキョトンとした後、笑い飛ばすように言った。 「やだなー、そんな真剣に謝らないで下さいよ。」 「え…」 「青山も、リレーって言っても、余興的な競技なんだから、そんな熱くなるなって。」 「な…」 「それよりっ、滝沢先生、その子猫見せて下さいっ。」 「きゃーっ、かわいー。」 「先生、私も抱っこしたい。」 「あ、ズルい。私もー」 「……」 「……」 ……何だったんだ。さっきの俺の胃の痛みは……。 生徒達との温度差を感じながら、俺は女子生徒の1人に子猫を渡して言った。 「取りあえず、整列して退場するぞ。次の競技がまだ残ってるんだから。」 「はい。」 「俺は、このまま青山を、保健室へ連れて行くから。」 「分かりました。」 子猫に夢中になっている生徒達を残して、俺は青山を保健室まで連れて行った。
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