複雑なオトコゴコロ

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期末テストが終わった今日、その解放感からか、いつもより教室の中はざわついていた。 帰り支度をしていると、楽しそうにはしゃぐ声が聞こえてくる。 「……これなんか可愛いんじゃない?」 「えー、でもちょっと大胆すぎない?泳いだら、ズレちゃいそう。」 「だって行くのは、海でしょ?プールのジャンボスライダーとかするわけじゃないんだから、大丈夫だって……」 「うーん、でも……ね、ね、美和子ちゃん。」 私の前の席に座っている愛美ちゃんが、突然振り返って椅子を引きずりながらこっちに移動してきた。 亜紀ちゃんも、雑誌を手に持って私の席に近寄ってくる。 机の上に、雑誌が広げられた。 「美和子ちゃんはどう思う?」 「これ、すっごい可愛いよね?」 亜紀ちゃんは、雑誌のある箇所を指差して言った。 それは、水着特集が組まれた雑誌だった。 開いたページには、この夏おすすめの水着が掲載されている。 亜紀ちゃんが指差した水着を見て、私は目を丸くした。 ……このビキニ……ちっちゃ……。 他のビキニと比べてそれは、明らかに布の部分が少なかった。
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