複雑なオトコゴコロ

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先生は、ちらっと雑誌に目を向けた後、素っ気ない口調で言った。 「男なんて、女の子が水着着てたら、それだけでドキッとするんじゃないの?」 「もーっ、それじゃあ全然、参考にならないですよ。」 亜紀ちゃんは、雑誌の中の1つのビキニを指差して言った。 「これとか、どう思います?」 「……いいんじゃない?」 「私はやっぱり、ビキニは無理。ウエストの辺とか、ぷにぷにしてるもん。」 愛美ちゃんが、恥ずかしそうに俯く。 「美和子ちゃんは……これなんか似合いそう。」 亜紀ちゃんが指差したのは、フリルのついた鮮やかなピンクのビキニだった。 「美和子ちゃんなら、ビキニも着れるよね。ウエストきゅっ、てしてるもん。」 「そ、そんなことないよ。私もビキニなんて、着たことない……」 「どれ?見せて。」 今まで興味なさそうにしていた滝沢先生が、突然身を乗り出して雑誌を手に取る。 「これです。この、左上の……」 「……」 亜紀ちゃんが指差したビキニを見て、先生の顔が不機嫌な顔に変わった。
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