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更衣室を出ると、男子テニス部の部員が1カ所に集まっている。
その中心には滝沢先生がいて、何かのプリントを配っているようだった。
先生は、私と奈央に気づくと声をかけてきた。
「佐伯と神崎も、これ、取りに来て。」
「何ですか、それ。」
「夏休みの日程表だよ。
休む日が前もって分かってるなら、部活の時に直接伝えて。
急に休む時も、メールか電話で必ず連絡するようにな。」
「はい。」
渡された日程表を、私はぼんやりと眺めた。
……こんなに毎日のように、部活で先生に会えるんだもん。
2人っきりで会いたい、なんて、我が儘言っちゃいけないよね……。
先生と付き合ってるんだから。
みんなみたいに、自由に会えない事くらい、最初から分かってたんだし……。
小さくため息をついて、私は自分の中に芽生えた願望を、無理やり心の奥に押し込んだ。
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