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私の家の少し手前まで来ると、路肩に寄せて車が停められる。
先生に助手席のドアを開けてもらって、私は助手席から地面にゆっくりと足を降ろした。
玄関の前まで付き添ってくれた先生は、もたつく私の手からカギを奪い取ってドアを開けた。
先生は、私のカバンを持っていない方の手で、ドアが閉まらないように押さえていてくれる。
「ありがとうございます……」
私が中に入ったのを確認すると、先生は自分も続いて玄関の中に入ってきた。
「カバン、ここに置いておくよ。」
「はい。」
カバンを玄関の一段高くなった所に置くと、先生は心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
「大丈夫?」
「は、はい……」
近づいた距離にドキドキしている私をよそに、先生は手を伸ばして私のおでこに、そっと手を当てた。
「熱出てきたんじゃないの?顔、赤い。」
「……ち、違いますっ、これは……」
「あとで測ってみた方がいいな。それから、これ……」
先生は塩飴を取り出して、私の手に握らせた。
「念のため、それ舐めておいて。熱中症の疑いがあるから一応、な。」
「はい。」
「……なあ、お前の部屋って、2階?」
「え……そうですけど……」
「……」
先生は眉根を寄せて少し考えていたが、突然ひょい、と私を横抱きにした。
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