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近すぎる距離にドキドキしていると、先生はそっとおでこを離した。
「冷たい、な。」
「え……」
「タオルで冷やしてたから、おでこは冷たい。」
「あ……ですよね……」
何となく可笑しくなって、先生と顔を見合わせて、くす、と笑いあう。
「気分はどうだ?まだふらつく感じする?」
「いえ……少し休んだら、だいぶ良くなりました。」
「そうか……」
先生はほっとしたような顔をすると、私の頬に優しく触れた。
「やっぱり……ちょっと痩せたな……」
労るようにそっと指で撫でてから手を離した先生は、苦しげに顔を歪ませる。
「……ごめん……俺のせいで……」
「……え……」
「神崎から聞いたんだ。お前がダイエットを始めたのは、俺に言われた言葉がきっかけだって……」
「あ……」
「佐伯くらいの年頃の女の子は、そういうの敏感だもんな。
もっと別の言い方もあったはずなのに、気遣ってやれなくて……悪かった……」
「あ、あのっ、違います。確かにきっかけはそうですけど……でもダイエットを始めたのは、それだけが理由じゃないです。」
責任を感じてるらしい先生の気持ちを少しでも軽くしたくて、私はブンブンと首を横に振った。
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