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「いくら痩せたいからって、あんまり細すぎるのもな……特に太ももは……」
やたらに脚が痩せたことを気にする先生をよそに、私はぼそっと本音を呟いた。
「……私は嬉しいけどな。脚が細くなったなら……」
「……」
「でも……太ももとか、あんまり変わってない気が……」
「全然、違う。」
言いかけた私の言葉を、先生はぴしゃりと否定する。
「絶対痩せてるって。前はもっと……」
言いかけて、先生は途中で言葉を飲み込んだ。
す、と太ももから手を離した先生は、不自然に私から視線を逸らす。
「……もっと……何ですか?」
「……いや、何て表現すればいいのか……ぴったりの言葉が見つからないな……」
「……」
……今、絶対……太いとかそういうこと、言おうとした……。
イジケる私を見て、先生は、くす、と笑う。
「何も言ってないだろ。そんな顔するなよ。」
「……聞かなくても、だいたい分かります……」
「そっか。以心伝心だね。」
からかうようにそう言ってから、先生は私をそっと抱き起こした。
ベッドの上に膝を立てて座った姿勢で、先生は私を自分の足の間に座らせると、後ろからふわりと抱き締めてくる。
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