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たくさんあるので、先生にもゼリーを食べてもらう。
私と横並びに座って、グレープフルーツのゼリーをスプーンに掬っていた先生は、チラリとこっちを見て聞いた。
「美味しい?」
「はい、とっても。これならいくらでも食べられそうです。」
「そっか、良かった。」
順調にスプーンを口に運んでいく私を見て、先生はふわりと微笑んだ。
「この店のゼリーが美味しいってこと、堂本先生に教えてもらったんだ。
奥さんのお気に入りらしくて……ほら、学校の近くにも、この店の店舗があるだろ?
だから堂本先生、よく学校帰りに買って帰ってるよ。」
堂本先生の、先生ではなく優しい旦那様の一面を垣間見て、私はほっこりした温かい気持ちになる。
「ふふ、優しいんですね、堂本先生。きっと奥さんと仲良しなんだろうなあ。」
「そうだな。仲がいいよ、ほんと。
前に奥さんが風邪で寝込んだ時も、堂本先生、この店のゼリーを買って帰ってたよ。
『うちの奥さんは食欲がない時でも、ここのゼリーだけは食べられるんだ』て……」
「堂本先生、奥さんのことよく分かってるんですね。」
「ん……一緒に暮らしてるからこそ、そういう"とっておき"に、気づくことができるんだろうな……」
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