複雑なオトコゴコロ

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* * * たぶん、軽い熱中症か貧血だったのだろう。 早めに水分補給をして体を休めたせいか、私は1日ゆっくり休んだだけで、すっかり良くなった。 今日は部活が終わってから、奈央と2人で水着を買いに行くことになっている。 「ね、これ可愛いと思わない?私、こういうのにしようかな。」 先に着替え終わった奈央が、カバンから雑誌を取り出してあるページを私に見せてきた。 それは夏休み前に私が亜紀ちゃん達と見ていた、水着特集が組まれた雑誌だった。 奈央が指を差した水着を見て、私は「あれ?」と声をあげる。 「奈央、ビキニにするの?村松くん、ダメって言ってたのに……」 「……うん……」 奈央はちょっと顔を赤らめて恥ずかしそうな表情を浮かべると、他の人に聞こえないように声を落として言った。 「今度一緒にプールに行く約束したの。そしたら村松くん、『一緒に行くならビキニがいい』て言い出して……」 「……え……だってあんなに反対してたのに?」 「でしょ?自分も一緒に行くなら、いいんだって。もう、ほんと男の子って意味不明だよね。」 奈央はそう言うと呆れたように肩をすくめて、また雑誌に目を向ける。 「わ、これも可愛い。こういうの、美和子に似合うんじゃない?」 「……でも私、ビキニは……」 『ビキニなんて、やめたら?まだ高校生なんだし、さ……』 夏休み前に先生に言われた言葉が気になって、私はビキニを買うかどうか決めかねていた。
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