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「……ね、奈央。村松くんと行ってあげたら?
"男のロマン"を邪魔したら私、恨まれそうだし……」
「だって私、美和子と行きたいもん。
初めてのビキニだし、女の子同士の方がゆっくり選べるし、美和子とならお互いにアドバイスもできるし……ね、美和子?」
「……う、うん……奈央がそう言うなら……。
でも、びっくりしちゃった。
村松くん、この前言ってることと全然違うんだもん。」
「でしょ?この間は、私がビキニを着るのをあんなに嫌がってたのに……」
こそこそと話す私達の会話を聞いて、村松くんは大げさにため息をついてみせた。
「分かってないなあ、奈央も佐伯も。
彼女がビキニを着るのを嫌がる男なんて、いるわけないだろ。
あれは、俺が一緒に行かない場合の話。俺と行くなら話は別だよ。
自分は見たい。けど、他の男には見せたくない。
分かんないかな、この複雑なオトコゴコロが……」
「……まあ……何となくは、分かるけど……」
「それじゃ、奈央……」
「っ……でもっ、それと水着を買いに行くこととは別でしょ?」
「お願いっ。俺の夢を叶えると思って……」
「……そんな捨て犬みたいな目で見ないでよ……」
2人が話すのを聞きながら、私は頭の中で、さっきの村松くんの言葉をぼんやりと考えていた。
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