複雑なオトコゴコロ

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「……でも、いいな……。 私も今年の夏、どこか行きたいなあ……海とかプールとか川とか、そういう夏っぽい所に……」 「……」 言ってしまってから、はっと気づく。 ……やだ、私ってば。 これじゃ先生に「連れて行って」ておねだりしてるようなもんじゃない。 プールとか海とか、それこそ誰に見られるか分からないんだから。 我が儘言って、先生を困らせたらダメなのに……。 私の言葉を聞いた先生は、ちょっと考えるような素振りを見せたあと、少し体を傾けて私の耳元に顔を近づけて言った。 「……じゃあ、行こっか。」 「え……」 「……お前の誕生日に、そういう夏っぽい所に……」 「……でもっ……」 躊躇う私の心を見透かすように、先生は私の頭をクシャッと撫でる。 「……大丈夫だって。ちょっと遠い場所を選べば、知り合いに会うこともないだろうから。」 「……ほんとに、いいの?」 「その代わり、早起きしてもらう事になるからな。覚悟しとけよ?」 「はいっ。」 ぴょこんと弾むように返事を返した私の頭の中は、先生と過ごす誕生日の事であっという間にいっぱいになっていく。
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