誕生日の約束

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夏休みの部活の帰り道。 電車を降りた私は、家とは反対の方向にある書店に向かって歩いていた。 5分程歩いた所にある書店は地元でも大きめな店舗で、2階はDVDやCDのレンタルショップになっている。 私は今日そこで、滝沢先生と待ち合わせをしていた。 あっという間に店にたどり着き、夏の暑さから逃れるように急いで入口の自動ドアを通り抜ける。 冷房の効いた店内に入ると、背中から汗が一気にすっと引いていくのを感じた。 きょろきょろと店内を見渡すけれど、先生の姿を見つけることはできない。 ……先生、まだ着いてないのかな……。 先生を探して店内をうろうろしていると、平台に並べられた、ある1冊の本が目にとまった。 『君のいる海』 それは、この夏話題になっているドラマの原作の文庫本だった。
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