誕生日の約束

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駅前の通りから少しはずれているこの道は、人通りも少なく静かだ。 会話が途切れた瞬間、ふわっと心地よい風が吹いて、私は、なびいた髪を軽く手で押さえた。 さわさわと流れる川の音が耳に涼しくて、昼間の暑さがウソのように気持ちがいい。 こうして先生と2人で会うのは、久し振りだった。 もちろん部活では毎日のように顔を合わせているのだけれど、夏休みに入ってから2人きりの時間はほとんどなくて、 だから今日ほんの少しでも、先生が私のために時間を作ってくれた事はすごく嬉しかった。 ――だけど、全然足りない。 少しでも先生と一緒に居たい私は、無意識に足取りがゆっくりになっていく。
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