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ドクンドクンと、心臓がうるさいくらいに音を立てている。
緊張と誰かに見られるかもしれないという思いに耐えきれなくなって、
私は赤い顔でカチカチになりながら、繋いだ手を引っ張って立ち止まった。
「せ、せんせ……」
「ん?」
「……誰かに見られちゃう……」
「ちょっとぐらい平気だよ。」
「でも……」
「……」
先生は少しの沈黙のあと、更に指を絡めてくる。
「せ、せんせっ……」
「さっき言おうとしたこと、言ってみろよ。」
「え……」
「さっき何か言いかけただろ?それ言ってくれたら離す。」
「あれはっ……気にしないでください。さっきはちょっと……我が儘なこと考えちゃっただけで……」
「ね、佐伯……」
ぴたりと足をとめると、先生は少し屈んで私の耳元に顔を寄せて囁いた。
「……たまには俺、我が儘言われてみたいな……」
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