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「……このまま連れて帰りたくなってきた。佐伯が可愛いこと言うから……」
「っ……連れてっ………」
「くっ……佐伯、すっごい真っ赤。」
真っ赤になった私の顔を満足そうに眺めたあと、先生は絡めた指先をそっと握り締めた。
「……ごめんな、佐伯……」
「……先生?」
小首を傾げて見つめ返すと、先生の潤いのある綺麗な瞳がゆらりと揺れる。
「いつも我慢させて……寂しい思いさせて……ごめん……」
「先生……」
少し苦しげなその表情に、きゅっと胸が締めつけられる。
「だからせめて俺と会ってる時は、我慢なんてしないで……もっと何でも、感じたことは素直に言って欲しい。」
「はい……」
コクンと頷くと、先生は「ん、いい子」と優しく私の頭を撫でてから、繋いだ手をそっと離した。
「あ……」
先生の温もりが離れていってしまい、私は急に寂しくなってしまう。
「あ、あの……」
「何?」
「……やっぱりもう少しだけ……繋いでてもいいですか?」
もじもじしながら素直な気持ちを伝えると、先生は一瞬驚いたような顔をしたあと、愛おしそうな表情を浮かべて私の手をそっと握って言った。
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