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片手を繋いだまま、先生の潤いのある綺麗な瞳が私を見下ろしてくる。
「……佐伯……」
いつもより熱を孕んだ瞳にドキリとしていると、先生は愛おしそうに手を伸ばして私の頬にそっと触れた。
「……佐伯、こっち向いて……」
吸い寄せられるように、顔を上に向けて先生と視線を合わせる。
先生は瞳を合わせたままゆっくりと――、向かい合うようにして地面にひざまずいた。
「あ……」
甘い予感に、トクンと胸が疼く。
熱っぽく私を見つめながら、先生はするりと私の頬を撫でて言った。
「……俺も佐伯のことが好きだよ……」
「せんせ……」
頬を撫でていた指先が、するすると髪に入り込んでくる。
先生は、その手をそのまま後頭部にまわして私を引き寄せた。
「だから…今すぐキスしたい……」
少し傾けた先生の顔が、ゆっくりと近づいてくる。
ベンチの背もたれに隠れるようにして、先生はそっと私の唇を塞いだ。
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