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頬に軽く口付けてから、先生は今度は私の露わになった耳に唇で触れる。
「っ、ね……耳ダメ……」
潤んだ瞳で訴えかけるけれど、先生は知らん顔して耳の輪郭に沿うように唇を滑らせていった。
「……や……」
我慢できずに声が漏れてしまい、慌てて手で口を押さえる。
耳たぶを軽く甘噛みしながら、先生がイジワルに囁いた。
「佐伯、ちゃんと話聞いてなかったの?」
「はな、し?」
「我慢するなって、言ったばかりだろ?」
「……だって先生が……んっ……」
反論しようとした言葉は、再び私の唇を塞いだ先生に飲み込まれてしまった。
ちゅ、と唇を吸い上げて離れては、またすぐに唇を重ねてくる。
さっきまでとは違う、激しく求めるようなキスにドキドキしていると、先生は突然キスを止めた。
「……は……」
「……先生?」
唇を離した先生は、ぎゅっと私の腕を掴んで俯くと、切なそうに顔を歪めて呟いた。
「……ほんと、冗談なんかじゃなくて……今すぐ連れて帰りたい……」
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