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お風呂から出た私は、パタパタとスリッパの音を響かせてリビングのドアを開けた。
『君のいる海』のドラマが、もうすく始まる時間なのだ。
「もう始まった?」
「ううん、まだ。ぎりぎりセーフ。ここ座ったら?一緒に観よ?」
ソファーに座っていたお姉ちゃんが、少し横にずれて場所を空けてくれた。
お姉ちゃんは大学に通うため、京都で一人暮らしをしている。
夏休みを利用して帰ってきていたが、あさって京都に戻る事になっていた。
「よかったー、間に合って。」
軽くタオルで髪を拭きながらお姉ちゃんの隣りに座ると、お姉ちゃんはじっと私を見つめて、んふふ、と意味ありげな笑みを浮かべて言った。
「美和子ちゃん、女っぽくなったね。」
「え……」
「今のタオルで髪を拭く仕草とか、ちょっとドキッとしちゃった。」
「や、やだなーお姉ちゃん、急に変なこと言わないでよ……」
「だって本当のことだもん。」
もう一度、んふふ、と笑ってから、お姉ちゃんは声を潜めて囁いた。
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