バレンタインデー

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「お疲れ様でした。」 練習が終わり、男子テニス部の部員達が、次々と部室の方へ流れていく。 マネージャーの奈央と私も、その集団の後ろに並んで、テニスコートを後にした。 話しながらゆっくりと歩いていると、後ろから 「お疲れ様」 と声をかけられる。 振り向かなくても分かるその声にドキドキしながら、私はなるべく平静を装って振り向いた。 「お疲れ様です。」 声をかけてきたのは、顧問の堂本先生と副顧問の滝沢先生だった。 「ゆっくり喋ってないで、早く帰れよ。」 「そうだぞ。あっという間に真っ暗になるからな。 神崎は自転車通学だったろ。ライト点けて帰れよ。」 「堂本先生、私、小学生じゃないんだから…分かってますよ。」 堂本先生が奈央に話しかけてる間に、滝沢先生はそっと私の耳元で囁く。 「家着いたら、メールして。」 ちょっと照れながらコクン、と頷くと、滝沢先生は僅かに口元を緩ませてから、 「それじゃ、気をつけて。」 と、普段の先生の顔に戻って、私達を追い越して行った。 ぽっ、と赤くなった私に、奈央がニヤニヤしながら言う。 「美和子って、滝沢先生と2人の時、いつもそんな感じなの?」 「え…そんな感じって…」 「好き、ていうオーラ全開って感じ。」 「な…」 奈央の言葉に、私は焦ったように反論した。 *
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