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「明日ね、秋元くんに言おうと思ってる。別れようって……。
たぶんこのまま付き合ってたら、私すごくイヤな子になる。
会いたい、て我が儘言って秋元くんを困らせて……きっと嫌われちゃう……」
「……我が儘、言ってみたら?」
「え……」
「お姉ちゃんが『会いたい』て我が儘言ったら、秋元さん、喜ぶかもよ?」
「……どういう意味?我が儘言われたら秋元くん、困るに決まってるじゃない。」
「私もお姉ちゃんと同じだったの。
我が儘言ったらダメだって、先生を困らせたくないからって……いつも我慢してた……」
「うん……」
「今日もね、先生と2人で会うの久し振りだったの。
でも会ったっていっても、帰りに待ち合わせて少し話したくらいで……、
私、そんなんじゃ全然足りなくて…もっと一緒に居たくなっちゃって……。
でもやっぱり困らせたくなくて、我慢しようとしてた。
そしたら先生がそれに気づいて……言ってくれたの。
『我慢なんてしないで……もっと何でも、感じたことは素直に言って欲しい。』
『たまには我が儘言われてみたい。』て……」
「……それで、言えた?」
「え、」
「『もっと一緒に居たい』て、美和子ちゃんの素直な気持ちを先生に……」
「うん……」
……言ったというか、言わされたというか……。
先生のイジワルを思い出して、私は赤くなりながらそっと耳たぶを指で触った。
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