誕生日の約束

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* * * 次の日。 夜の9時を少し過ぎたくらいにお姉ちゃんが帰ってきた。 秋元さんとのことが気になっていた私は、パタパタとスリッパを鳴らして玄関までお姉ちゃんを出迎える。 「お姉ちゃんお帰りっ。あの……秋元さんとは、どうなっ……」 「シュークリーム買ってきたの。美和子ちゃん、一緒に食べよ。」 私の言葉に被せるようにそう言うと、お姉ちゃんは私に顔を近づけて、そっと囁いた。 「……その話はあとで私の部屋でしよ。ね?」 「あ、うん……」 お姉ちゃんから、家のとは違う石鹸の香りがふわりと香ってくる。 ……あれ? 何だろ、この香り……。 お花みたいに甘くて、いい匂いで……家の石鹸と違う……。 「手、洗ってくるから、これ冷蔵庫に入れておいて。」 シュークリームの入った箱を手渡したお姉ちゃんに、私はぽつりと素朴な疑問をぶつけた。 「……お姉ちゃん、何かいい匂いする……」 「そう?」 「ん……お花みたいな甘くていい香り……」 「そう言えば『バラの香り』て書いてあった。ボディーシャンプーのボトルに……」 「え……ボディーシャンプーって……」 「あ……」 お姉ちゃんの顔が、ぼっ、と一気に赤く染まる。 「え、えっと……」 「……ご、ごめ……」 ……ボディーシャンプー使ったってことは、 つまり……そういう所に……秋元さんと……。 きゃーーーっ。 そこまで考えが行き当たって、私もお姉ちゃんと同じくらい真っ赤になってしまう。 「わ、私やっぱり先にお風呂入ってくるっ。美和子ちゃん、シュークリーム先に食べてて。」 お姉ちゃんは真っ赤になったまま、慌てて廊下の奥の洗面所へと入って行った。
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