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シュークリームの乗ったお皿を前にしたまま、私はお姉ちゃんの部屋のローテーブルの前にちょこんと座っていた。
お風呂から出てくるお姉ちゃんを待っていると、トントンと階段を登る足音がして、ガチャとドアが開けられる。
「あ…美和子ちゃん、食べるの待っててくれたんだ。」
お姉ちゃんはそう言って私の隣りに座ると、髪を留めていたクリップをはずした。
ぱらりと落ちた髪から、いつもの家のシャンプーの香りがふわりと香ってくる。
「……ね、もうさっきの香り消えた?」
タオルをかぶって髪の水分を拭き取りながら、お姉ちゃんが恥じらうように聞いた。
「うん。いつものシャンプーの香りしかしないよ。」
「良かったー、いつもより多めにボディーシャンプー使ったから大丈夫だとは思ったけど……」
「ごめんね、お姉ちゃん。……その…よく考えれば分かることなのに、軽々しく口走っちゃって……」
「ううん。気付いたのが美和子ちゃんで良かったよー。
お母さんだったら、咄嗟に言い訳なんて思いつかないから大変なことになってただろうし……」
お姉ちゃんは髪を拭き終わると、もじもじ、と恥じらうようにして口を開いた。
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